さて、前回に引き続き中野剛志先生の「日本経済入門」から、成長戦略についてです。

マンガでわかる 日本経済入門 [ 中野 剛志 ]

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前回は経済戦略にはアメ型とムチ型の二つがあるとのことでした。
ひとつは賃金向上をアメにしたアメ型でしたね。

今回はもう一つの経済戦略、ムチ型について考えていこうと思います。

★ムチ型成長戦略

ムチ型成長戦略とは、解雇や賃下げの脅しを「ムチ」として、人件費を下げ、企業がより沢山儲かるようにするというものです。
さらに様々な規制を緩め(規制緩和)、企業同士あるいは海外との価格競争をうながし、力のない企業は潰して生き残った強い企業だけの経済にしていきます。
これだけ聞いてもなんかもう…今の日本そのままですね…
コロナ過、銀行法改正で現在進行形で日本の中小企業は潰されようとしています。

この戦略で手始めにできるのは人件費のカットとなるので、労働者を保護する規制も緩和し、労働組合の力も弱めておかないとなりません。
お分かりと思いますが、このモデルだとなかなか賃金上昇の方向にはなりません。
文句をいうならやめてくれ、生産性の低い労働者は解雇するよってことですね…
逆に力をもってくるのが投資家(株主)です。

このモデルでは企業は利益を増やしますが、労働者の所得は減っていきます。
そうするとモノやサービスを買おうとする力(需要)も減り、企業の商品も売れなくなります。
そこで企業は、商品の売り先を海外に求めるようになります。
さらに人件費が安いのであれば、生産拠点も海外に移すようになるでしょう。

これがグローバリゼーションです。

これがすすむと、さらに賃金の値上げを要求するのが難しくなります。
「賃上げしたら会社が国際競争力を失うので潰れてしまうよ!」
「人件費上がるなら海外に工場うつしちゃおっかな~!」

と企業側が言えるようになるからです。

→人件費をカットする
→カットした分を配当に回す(株主は儲かる)
 ※配当:企業が株主に分配する利益
→労働者は貧乏になる(国内の需要低下&貧富の格差拡大)
→企業は海外で取引をし、利益を増やす(グローバリゼーション)
→株主からのさらなる利益要求やグローバリゼーションが賃金を下げる
→カットした分を配当に回す
→…

ムチ型成長戦略
The Usui Postさん:5分で読む『奇跡の経済教室[基礎知識編]』

また、企業は人件費をカットすることで利益を簡単に確保できるのでアメ型戦略に比べて、時間がかかるし面倒な、研究開発・設備投資に意欲的ではなくなります。

こうして、
  • 労働者の所得は増えない
  • 需要も増えない
  • 設備投資やイノベーションも盛んにならない
状態になります。

当然、経済全体が発展することは難しくなります。
そして格差は拡大していきます
これは、デフレに向かう圧力が強い戦略といえます。
デフレ型の現在の日本がとっていい作戦ではないように思えますが、いかがでしょうか?
日本は20年以上にわたってやり続けています

今の状況がよくない!と思われる方は、
今年(2021)の秋に行われる選挙に是非投票してください。
自民党・公明党・維新の会は「ムチ型」成長戦略を推し進めています。